さて昨日に続いて『ダンジョン・マスターズ・ガイドII』掲載の同行キャラクターのお話をば
昨晩の話題は、すでに予定されていたセッション、連続して遊んでいるセッションに欠席者が出た場合に同行キャラクターを活用する方法についてでした。
ですが本来このルールは、そもそもD&Dを遊ぼうとしたときに、充分な人数のプレイヤーが集まらなかった場合のために用意されているルールです。
TRPGの多くは、一定数のメンツが集まらないと遊べないという宿命を背負っています。その中でもD&Dは、比較的「最低限必要なプレイヤーの人数」がはっきりしているシステムだと思います。
D&Dは基本的に、異なる技や才覚を持ったキャラクターたちが集まってパーティを組み、協力し合って冒険するスタイルを推奨しています。そのためにわざと、1人でなんでもできてしまう万能型のPCは作り難い仕掛けがしてあるのです。
これにより、「他のPCに食われて自分のキャラが活躍できない」というケースが少なかったり、連携プレイが面白い、といった利点を得ているわけですが、一方でプレイヤーの人数を集められないと、パーティ全体としての戦闘力や対応能力がガクンと落ちる、という面も持ち合わせています。
さて、とは言っても、「D&Dは遊びたし、されどメンツは揃えられず」というケースはままあるでしょう。そういうときのために用意されているのが、DMG2の「同行キャラクター」ルールなわけです。同じレベルのPCの代わりに働ける最低限の能力を持ち、それでいてPCよりはずっと取り回しが簡単。プレイヤーが自キャラに加えて使うにもさほど負担とならない軽さ。
このルールの素晴らしさについては、このブログで何度か述べてきましたが、実際に僕自身が同行キャラクターのルールを使ったセッションに参加する機会も増え、いろいろと経験も積みましたので、もうちょっと踏み込んで、実際にプレイヤーが何人なら、同行キャラクターを何人足すのがお勧めか、ということについて書いてみようと思います。
あくまでも私見であり、異論はおありだと思いますが。
1:プレイヤーが3〜4人の場合
基本的には、撃破役、指揮役、制御役、防衛役のPCが1人ずつ居れば、パーティ内での役割不足は起こりません。しかしながら、4版における推奨プレイヤー人数は5人です。
この2年遊んできて思うのですが、役割が4つなのに推奨人数が5人となっているのは伊達ではなく、やはり4人パーティと5人パーティでは安定感が違うのですね。実際のところ、3版、3.5版時代においても、推奨人数は4人でしたが、快適に遊べるパーティ人数はむしろ5〜6人であったというのが僕の感想です。
加えてD&Dの場合、既製アドベンチャーを用いたり、既存アドベンチャーやダンジョン・デルヴから引っ張って来たり、『モンスター・マニュアル』シリーズにあるものを使ったりして、すでにある遭遇をもとにアドベンチャーを作成するDMさんも多いと思います。そして4版における遭遇のほとんどは、PCの人数が5人であることを想定して作られています。
この場合、遭遇を「少ない人数に合わせて」調整するのは、けっこうめんどくさいことが多いのです。特にもとの遭遇に登場するモンスターの数が4体以下の場合には、かなりやっかいです。場合によっては、その遭遇で示唆されている基本戦術自体が役に立たなくなってしまうこともあります。逆に大人数パーティに合わせて調整するときは、遭遇レベルと同じレベルの標準モンスターを1匹足すだけなので、簡単なんですが。
というわけで、プレイヤー人数が3〜4人の場合には、同行キャラクターを足してパーティ人数を5名にしてしまうことをお勧めします。プレイヤーが4人居ても、あえて同行キャラクターを1人足して5人パーティにするのです。
そのほうがDMも遭遇の調整をしなくて済みますし、パーティも安定します。特に前者は重要。ただでさえDMが準備することは多いので、手間はなるべく省けたほうが良いですからね。
2:プレイヤーが2人の場合
基本的には、これがD&D4版で通常のセッションを行なう最低限のプレイヤー人数になると思います。PC2名、同行キャラクター2名で4つの役割をカバー。ハイブリッドやマルチクラスによって1キャラで複数の役割をまかなうこともできますが、その場合でも純粋に頭数の問題として、最低限4人パーティは組みたい。
その一方で、いくらルールが軽いからと言って、1人のプレイヤーがPC1名+同行キャラクター2名以上を操るというのは、ちょっと負担が大きいのではないかと思います。よって、ここで同行キャラクターを3人足して5人パーティにするというのは、あまりお勧めしません。
1で述べた通り、4版におけるデフォルトのパーティ人数は5名。5人用に作られた遭遇を4人用に調整するのは面倒ですし、4人パーティと5人パーティの安定度の差は大きいのです。
加えて同行キャラクターは、そのレベルにおける最低限の能力しか持っていませんので、PCに比べて若干力不足な部分があります。パーティの過半数以上が同行キャラクターとなると、人数分の戦力や対応能力を期待するのは難しいでしょう。
このような場合は、いっそPCのレベルよりも1レベル低い冒険を遊ぶことをお勧めします。
つまりたとえば、いまPCが2レベルであるなら、これに2レベルの同行キャラクターを2人足して4人パーティとし、そのうえで、1レベルPC5人用に作られたアドベンチャーを遊ぶわけです。『ダンジョン・マスターズ・ガイド』にある経験点の表を見ていただければわかりますが、大雑把にいってレベルごとの経験点の差は25%。パーティの人数が1人少ないなら、レベルが1つ低い遭遇を遊ぶと、PC1人あたりの経験点がほぼ同じになります。
あるいは例えば、12レベルで遊び始めることが推奨されている『巨人族の逆襲』をやるときに、プレイヤーが2人しか集まらなかったなら、各人に13レベルのPCを作成してもらい、これに13レベルの同行キャラクターを2名足してキャンペーンを始めるのです。
このほうが、各遭遇をいじくってモンスターの数を減らしたり、モンスターのデータをいじくったりするより、ずっと簡単です。
もっとも、「3人以上のプレイヤーが来るはずだったのに、ドタキャンで2人に減っちゃったー!」などという場合はしかたありません。急遽別のアドベンチャーを用意するというのは難しいですからね。
そのような場合にはアドベンチャーをよく見て、各遭遇を調整するか、同行キャラクターを3人足して5人パーティにするかを考えましょう。プレイヤー諸子がD&D4版のルールに慣れているなら、後者のほうがより手間が省けるかもしれません。
3:プレイヤーが1人しかいない
ガンバレw
というのは冗談で、同行キャラクターを用いれば、プレイヤーが1人であっても、パーティの人数を増やしてD&Dを遊ぶことは可能です。
もちろん、最初からPCが1人であることを想定した冒険を作ることはできますが、『ダンジョン・マスターズ・ガイド』などに書いてある指針やテクニックの多くが参考にならなくなってしまいます。
ですのでこの場合も、1人のプレイヤーに自分のPCと3人以上の同行キャラクターを使ってもらい、1対1で通常のアドベンチャーを遊ぶというのはいかがでしょうか。
もちろん、1人のプレイヤーが扱わねばならないキャラクターが多くなり、負担は増えます。しかし逆に言えば、なにしろプレイヤーが1人しかいないのですから、セッションの間中、そのプレイヤーさんが暇になることは一瞬たりとないわけです。これはこれで、一つの遊び方として面白いかもしれません。
というわけで、自分の体験をもとに、プレイヤーの人数にあわせた同行キャラクターの運用法のアドバイスをお送りしてみました。プレイヤーの頭数が揃わないからといって、セッションの機会を逃してしまうのは悲しいことです。せっかくこんな素晴らしいルールがあるのですから、最大限に活用しましょう。
2010年12月01日
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